後見制度に関する用語
裁判所書記官(さいばんしょしょきかん)
裁判所において裁判の記録や調書などを作成し、保管することを主な仕事とする人です。また、裁判を行う前の準備のために提出された書類を審査したり、当事者に裁判所に来てもらうための呼出状を送るなどの事務のほか、裁判官に頼まれた調査をしたりなど、事務の中核を成す裁判所の職員です。
法定後見制度(ほうていこうけんせいど)
本人の判断能力が不十分な場合に、親族等が家庭裁判所に申し立てることにより適切な支援者を選ぶ制度です。本人の判断能力により後見、保佐、補助の3つのタイプがあります。
取消権(とりけしけん)
成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年者などが同意を得るべきなのに同意を得ないでした法律行為を取り消すことができる権利のことです。例えば、未成年者であれば単独で不動産を買うことができませんが、保護者の同意を得ないで契約をした場合、その未成年者と保護者には取消権があるので、その契約を取り消すことができます。
四親等内の親族(よんしんとうないのしんぞく)
親等というのは親類関係の距離を表す数字のことで、本人を基準として、1親等が父母、2親等が祖父母、3親等が曽祖父母といったように親子関係を経るごとに1親等ずつ増えていきます。小さいほど近く、大きいほど遠い親戚にあたり、4親等以内の親族に該当するのは父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、曾祖父母、曾孫、おじ?おば、甥?姪、高祖父母、玄孫、いとこ、甥姪の子といった親族になります。
任意後見監督人(にんいこうけんかんとくにん)
任意後見人が任意後見契約の内容どおり、後見事務を適正に行っているかを監督する人のことです。 任意後見人から財産目録などを提出させるなどして確認します。任意後見契約は、家庭裁判所が「任意後見監督人選任の審判」をしたときから、その効力が生じます。
つまり、任意後見人は任意後見監督人が選任されなければ後見事務を行うことはできません。
居住用不動産(きょじゅうようふどうさん)
生活の拠点となる建物やその敷地のことです。例えば現在は本人が老人ホームなどの施設に入っていても、それ以前に住んでいたり、仮に本人の病状が良くなったりした時に戻るべき場所である場合には、居住用不動産となります。賃貸の建物も居住用不動産となります。この居住用不動産を処分したり、賃貸借を解除する場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。
利益相反行為(りえきそうはんこうい)
利益相反行為とは後見人や親権者などが法律行為をした場合に、後見人や親権者が得をし、本人になんかしらの不利益を生じさせる行為のことです。例えば、未成年者の所有している1億円の不動産を未成年者に代わって親権者が自分に10万円で売るなどの行為が利益相反行為にあたります。
長谷川式簡易知能評価スケール(はせがわしきかんいちのうひょうかすけーる)
認知機能を評価するために行われる簡易的な認知機能検査です。9つの評価項目で構成されており、10分程度で行うことができるため医療現場や介護現場などの様々な場面で用いられています。
参与員(さんよいん)
家庭裁判所が民間人の中から毎年予め選任している者で、家事審判や人事訴訟事件などの裁判に立ち合うことや書類の閲覧が許されており、必要に応じて意見を述べることが出来る人です。なお、選ばれるのは社会的良識のある者で、資格は特に必要ありません。
後見人等候補者(こうけんにんとうこうほしゃ)
成年後見制度の利用が決まると、裁判所が成年後見人等を選任します。その際に成年後見人等の候補になる人のことを言います。被後見人の意思を最大限に尊重・優先し法律的に保護し支えることが選任にあたり大事な条件となります。
代理権(だいりけん)
本人に代わって特定の法律行為についての決定などを行うことのできる権限をいい、法律効果を生じさせることのできる法律上の資格です。その権限は「代理権付与」の申立てにより審判で定められます。
後見登記事項証明書(こうけんとうきじこうしょうめいしょ)
成年後見人等に任命された人が、本人に代わって契約等を行う際に、成年後見人等としての権限があることを証明するための書類のことで法務局が発行します。例えば、老人ホーム等の施設への入所契約や、銀行口座の開設、財産の売買契約などの代理を行う上で提出を求められることが多くあります。
家事審判官(かじしんぱんかん)
家庭内での争い事や家族関係に関わることを解決するための家庭裁判所で、家庭に関することのみを扱う裁判官のことを言います。家庭内の問題なので、白黒つける「判決」ではなく、解決するための「審判」をおこないます。
後見登記(こうけんとうき)
東京法務局が管理している成年後見制度に関する情報システムである「貢献登記等ファイル」に対して、制度の利用者に関する事項を記録することを言います。
記録事項は、後見・補佐・補助・任意後見を利用している人の情報や、後見人の権限等となります。
公証人(こうしょうにん)
法律実務の実績がある応募者から法務大臣により任命された公証事務を遂行する者を指します。公証役場での公正証書の作成が主な業務であり、財産や権利を守る契約書や遺言状を作るほか、会社設立の定款を認証したり、利権が絡む文書の日付を証明する確定日付を行います。
補助人(ほじょにん)
補助人は判断能力が不十分な方(被補助人)を補助するため、家庭裁判所から選任されます。被補助人の利益になるように同意を与えたり、同意を得ていない行為を取り消すことが出来ます。
民法(みんぽう)
私達の日常生活における様々な場面に関わってくる法律のことです。一般人同士の民事上の関係を規律する法律になります。個人ではない法人の場合でも民法の適用を受けます。
同意権(どういけん)
法定後見制度において本人が財産管理に必要な様々な契約を結ぶ際に、保佐人が詳細を確認して承認し契約に同意したり、補助人が契約手続きをサポートする権利です。保佐人には代理権の代わりに同意権が、また、補助人には限定領域での同意権が与えられます。
審判(しんぱん)
家庭裁判所でよく使われる少年事件での裁判のことを指します。一般的な似た用語として裁判がありますが、家庭裁判所での少年事件の裁判は審判も呼びます。家庭に関する事件の際も家庭裁判所では審判と呼びます。
後見制度支援信託(こうけんせいどしえんしんたく)
本人の預貯金が多い場合に、日常生活で使うであろうお金はとっておき、それ以外の今使わないような貯金を後見人と呼ばれる財産などを監督するような方に預けておくという流れのことを指します。
医療ソーシャルワーカー(いりょうそーしゃるわーかー)
患者や家族が安心して治療をすすめれるように相談に乗り、他職員や患者に必要な連絡調整を行う。治療費の負担、療養中の育児、家族との人間関係、転院先の紹介を行うのが主な仕事である。
法律行為(ほうりつこうい)
法律行為とは契約を主として契約を成立させようとする意思とそれに基づく表示行為のことです。例えば、店で本を買う場合、「この本を買おう」と思うのが意思表示、「レジに本を差し出して現金を支払う」のが表示行為です。この一連の流れを法律行為と言います。
任意後見人(にんいこうけんにん)
任意後見契約でご本人自らが頼んだ当事者であり、契約によって事前に決められた行為を本人にかわって行う人を任意後見人という。
任意後見人は、ご本人の財産をきちんと管理してあげること、そして介護や生活面のバックアップをすることなどを行う。
社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい)
社会福祉協議会は、都道府県と市町村それぞれに設けられており、その地域に住む人々を対象に福祉事業を実施している団体です。それらの事業の中には、成年後見や後見相談に関する事業もあり、障害者や認知症高齢といった要援護者に対し、財産や生活に関する相談、手続代行等を行っています。
調査官(ちょうさかん)
後見制度において法廷後見人を選ぶ際、後見人として申し立てをした当人や親族の意向を調査し、サポートが必要な本人の状況確認を鑑定医に依頼したり、申立人の適性を見極めたりする裁判所の担当者。
親族(しんぞく)
民法において親族の定義には3つの種類があり、それぞれ「配偶者」、「6親等内の血族」、「3親等内の姻族」となっています。
血族とは本人と直接血のつながっている親や子供、姻族は配偶者の親や兄弟などを指します。
申立人(もうしたてにん)
申立人が担う役割とは、必要とされている書類などを収集し、家庭裁判所に対して提出をすることで、後見や保佐、補助などの始めてもらえるよう、申請することを主としています。
成年後見人(せいねんこうけんにん)
自分で生活の様々なことを行うことが難しい人をサポートするために選ばれた人のことです。日常生活に関すること以外の、法律関係の手続きを本人の代わりに行う人で、法律のもと選ばれる代理人です。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)
家庭裁判所は、公に公開される通常の訴訟手続きにはそぐわないと考えられている、家庭内の紛争や非行のある少年の事件を扱う裁判所です。略して「家裁(かさい)」と呼ばれることもあります。家庭裁判所は、全国に50ヶ所あり(北海道に4ヶ所、他各都府県に1ヶ所)、また203ヶ所の支部及び77ヶ所の出張所があります。
民法第13条1項(みんぽうだいじゅうさんじょういっこう)
保佐される人が財産や権利の収入を受け取ると、それを浪費してしまう可能性があります。そのため、民法第13条1項にある行為をする場合は、保佐人の同意を得なければいけません。
審判書(しんぱんしょ)
後見開始の申し立てをした場合に、その申し立てをした家庭裁判所から当事者たちに対して発送される書類です。
名前が示すように、申し立てに対する審判の内容について記されています。
保佐人(ほさにん)
保佐人とは、法律行為を主として行為の結果に対する判断能力が著しく不十分な本人に対してある法律行為を行って良いかどうかの同意を与えたり、同意を得ないで本人がした行為を取り消したり、本人に代わって法律行為を行ったりする人のことです。同意を与えたり取り消したりする行為は民法で決められており、例えば、不動産の売却、借金をする、または借金の保証人になる、などがそれにあたります。
任意後見制度(にんいこうけんせいど)
本人が十分な判断能力を有している間に、財産の管理や介護の決定を含めた契約などを結ぶことを頼める任意後見人となる方や将来その方に委任する事務内容を公債証書による契約を結び、準備をしておくで、後の本人の判断能力なしの状態なった際のために備える制度です。
鑑定医(かんていい)
「精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師」が裁判所から任命されます。心神喪失等を主張する被疑者・被告人に対して精神障害の有無や医療の必要性の有無を判断します。
特別代理人(とくべつだいりにん)
ご本人と後見人がともに相続人である遺産分割などの利益が相反する行為について、家庭裁判所から選任される代理人のことを特別代理人という。特別代理人は、利害関係のない親族が務める場合もありますが、弁護士や司法書士などの専門家が選任させる場合もあります。但し、成年後見監督人が選任されている場合には、成年後見監督人がご本人を代理します。
精神鑑定(せいしんかんてい)
被後見者である本人の判断能力や、精神の状態を確認する必要があります。これは医学的に判定し、診断書を提出する必要があります。後見や保佐の審判では、精神鑑定を行った医師による診断書が必要となります。
後見申立てでの本人の状況によっては、精神鑑定が省略される場合もあります。