生前整理は、本人がまだ存命の段階でおこなう身辺整理のようなもの。亡くなった後におこなう遺品整理と違い、本人の意思で必要なものや不要なものの仕分けや、自身が亡くなった後の財産分与などがおこなえるため、いわゆる「終活」の一環として実施されています。
とはいえ、自分がいつ亡くなってしまうかの時期については、知りようがありませんよね。では、一般的に生前整理はいつやるべきものなのでしょうか。
今回は、生前整理をいつから始めたらよいかについて解説します。また、どのようなことをおこなうのか、進め方やポイントについてもお伝えします。
ご自身や大切なご家族の、生前整理を検討されている方の一助となれば幸いです。
生前整理とは?
生前整理(せいぜんせいり)とは、個人が自分自身が生きている間に、自身の持ち物や遺品、文書などを整理・整頓することを指す言葉です。
主に高齢者や健康なうちから、自分の身の回りの物事を整理しておくことで、将来の遺族や家族に負担をかけないようにするための準備となります。
具体的には、亡くなった後に残される物品を整理・処分する遺品整理や、自分の遺産をどのように分配するかを明記した遺言書の作成。
請求書、保険証券、銀行口座情報など、重要な文書を整理しておく重要文書の整理に、財産や資産を整理して、将来的な相続の際に問題が生じないようにする遺産の整理。
さらに、大切な品物を特定の人に贈るか、特定の方法で処分する指示を残すことなどです。
生前整理は、遺族に負担をかけずに遺産や遺品を整理することができるため、遺族のストレスを軽減する役割をはたすと同時に、自分の意思を尊重するための手段でもあります。
冒頭でもお伝えしたように、生前整理はいったいいつから始めるべきなのか、時期やタイミングを図るのは難しいところ。
ここから、一般的に生前整理はいつから始めるのがよいといわれているのか、最適な時期やタイミングをご紹介していきます。
生前整理を始めるのに最適な時期やタイミング
生前整理をいつから始めるのかは、結論をお伝えすると、適した時期やタイミングは人それぞれ異なります。
一般的には、以下のポイントを考慮することが大切です。
・心身共に健康な時期
・経済的な安定を確保した後の時期
・重要なイベントや節目を迎えるタイミング
・50代を過ぎたタイミング
ここから、それぞれ詳しくお伝えしていきます。
心身共に健康な時期
生前整理は、心と健康で体力があるうちに始めることがおすすめです。年齢や健康状態が良い時期に始めることで、物理的な負担が軽減されます。
そのため、生前整理はできるだけ早い段階から考えることが重要。少しでも若い時期から整理することで、将来的な変化や不測の事態に備えることができます。健康であるうちに取り組むことで、整理作業もスムーズに進むでしょう。
経済的な安定を確保した後の時期
生前整理には、コストがかかる場合もあります。たとえば、収納グッズの購入、整理のための専門家の依頼などの費用などが想定されるからです。経済的な安定を確保してから取り組むことで、負担を軽減できます。
また、生前整理には、物品の整理だけでなく遺産の整理も含まれます。経済的な安定が得られた後に取り組むことで、遺産分配などといった財産分与を適切におこなえるでしょう。
本人が亡くなった後、遺族間での財産分与のトラブルを避けることもできます。
重要なイベントや節目を迎えるタイミング
結婚、出産、引退などの人生の節目や大きな変化のタイミングで生前整理を行うことを検討してみてください。これらの変化に伴って持ち物や遺産の整理が必要になる場合があります。
新しいライフステージに入る前に生前整理をおこなうことで、新たな人生のスタートを気持ちよく切ることができます。
50代を過ぎたタイミング
40代から50代にかけては、家庭や仕事の安定感が増し、子育てが一段落することも多い時期です。
とくに50代以上になると、定年退職や子供の成人など、人生の大きな変化が迫っている可能性があります。
前項目でもお伝えしましたが、これらの節目を機に生前整理を始めることで、新しいライフステージに備えることができるのです。
ただし、年齢に関係なく、健康状態や個人の状況に合わせて生前整理を検討することが重要とされています。健康なうちから始めることで、突然の病気や事故に備えることができます。
そのため現在では、30歳以上からすでに生前整理を始める方も少なくありません。
この年齢になると、自身の将来や健康状態について考える機会が増え、整理や計画の必要性が意識されることが多いです。
健康で体力があり、将来のことを考える余裕がある若い時期から生前整理を始めることがには多くのメリットがあります。若い頃から未来への備えとして整理を始めることで、将来の負担を軽減できるのです。
h2:生前整理の進め方で押さえておくべきポイントをご紹介
生前整理を始める時期については、人それぞれ適したタイミングがあるとお伝えしましたが、生前整理の進め方や押さえておくべきポイントは共通しています。
それではここから、生前整理の進め方とポイントについて具体的に解説していきます。
生前整理の進め方について
生前整理の進め方でまず始めにおこなうことは、目標を設定することです。何を整理するか、どの程度の整理を行うかなど、明確な目標を設定しましょう。
つぎに、持ち物をカテゴリーごとに分け、整理しやすくします。
例えば、衣類、書類、写真、貴重品などのカテゴリーごとに分類します。これによって、整理が効率的に進みます。
カテゴリー分けが終わったら、次におこなうのが整理の優先順位付けです。
生前整理は、重要なものの整理を優先しておこないしましょう。必要のない物品を先に処分しておくと、整理が進みますよ。
不要な物品に対しては、適切な処分方法を選びましょう。売却、寄付、廃棄など、それぞれのアイテムに適した方法を考える必要があります。思い出の品や大切な物品に関しては、贈与する相手を決めておくと良いです。
遺産分配や遺したい意志を明記した遺言書を作成しましょう。この際、弁護士や専門家のアドバイスを得ながら、法的な手続きを遵守して遺言書を作成するようにしてください。
また、請求書、保険証券、銀行口座情報、不動産の書類など、重要な文書を整理・整頓しておきましょう。これらを整理しておくことで、急な事態にも対応しやすくなります。
くわえて、こうした生前整理の内容や意図を遺族や家族と共有しておきましょう。
整理された状態を理解してもらうことで、遺族の間での誤解やトラブルを防げますよ。
以上が、一般的な生前整理の進め方となります。
生前整理の際押さえておくべきポイント
生前整理をおこなう際は、どのカテゴリーのものを、どのように整理するかなど、計画的に考えてから実行に移すようにするのがポイントです。
目標や進捗状況を定期的に確認し、調整することで、整理の進行状況を把握できます。
近年では、生前整理では物理的な持ち物だけでなく、デジタルデータやオンラインアカウントなども整理の対象となっています。パスワードやアカウントといった、デジタル遺産の取り扱いにも注意を払いましょう。
個人情報やプライバシーに関わる情報は、適切に処理することが大切です。
デジタル資産に限らず、不要な文書やデータは適切に廃棄し、プライバシーを守るよう心がけましょう。
くわえて、重要な文書や貴重品を保管する場所は、防火対策や盗難対策を考慮して、安全かつアクセスしやすい場所を選んでください。
また、生前整理をおこなう際は、相続に関する基本的な知識を身につけておくことを推奨します。相続税や法的な手続きについて理解しておくことで、遺族に負担をかけないよう準備ができるのです。
おすすめなのは、弁護士、税理士、整理収納アドバイザーなどの専門家のアドバイスを受けることです。専門家のアドバイスを受けることで、正確かつ適切な整理がおこなえます。
生前整理は、一度おこなったからといって終わりというわけではありません。定期的に整理を見直し、必要に応じてアップデートすることで、整理が現状に適合しているかが確認できます。
変化する状況に合わせて、整理内容を更新することが大切です。
以上が、生前整理の際押さえておくべきポイントとなります。
まとめ
生前整理をいつやるのか、適した時期やタイミングは人それぞれ異なりますが、健康的であり、重要なイベントや節目や経済的に安定しているタイミングにおこなうのが一般的とされています。たとえば、ライフステージが変わる50代を過ぎたタイミングではじめるのもよいでしょう。
生前整理の進め方は、まずなにをどの程度の範囲で整理するのか計画を立て、その後カテゴリー分けや優先順位付けを経て、不用品の処分方法や遺言書の作成などをおこなっていきます。定期的に進捗を確認し、目標に向かって計画を調整していくことが大切です。変更が必要な場合は、柔軟に対応して調整しましょう。
また、生前整理をおこなう際には、家族や関係者とコミュニケーションを取りながら進めることが大切です。特に遺産分配や思い出の品に関して、意見を共有し合いましょう。
生前整理は、将来のことを考えて、整理を進める貴重な活動です。自分や家族のために、早めに始めてみることを検討してみてください。
生前整理は一度で完了するものではなく、段階的に進めるプロセスです。生前整理を一度おこなったら、定期的に見直すようにしましょう。自分自身や遺族の状況に合わせて計画を立て、進めていくことが重要です。
専門家のアドバイスを得ることも検討して、スムーズに整理を進めていきましょう。