終活お役立ちコラム

「終活」とは?主な目的やメリット、終活の進め方について

「終活」は、人生の最期に備えて行う事前準備です。死に向けた準備と聞いて、どこかネガティブな印象を受ける方もいるかも知れませんが、終活は残された時間をより充実させ、老後の不安を軽減させるための前向きな活動です。

これまでを振り返り、これからの人生をしっかり見つめ直すためにも、できるだけ元気なうちから始めることをおすすめします。とは言え、一体何から始めたら良いのかわからない、と迷われる方も多いかと思います。この記事では、終活の目的やメリット、進め方について詳しくご紹介していきます。

「終活」とは?意味や必要性について

「終活」とは、人生の最期に備えて行う事前準備や活動のことを指します。具体的には、身の回りの持ち物や資産を整理したり、亡くなった後の引き継ぎ先や、供養についての意思表示を残しておくなど、万が一に備えての準備を整えていきます。

終活が注目されるようになった背景には、核家族化や少子化、高齢者の増加などに伴う家族のあり方の変化があります。従来のように介護や看取りを担う人材が足りなくなることや、社会保障制度が成り立たなくなることを危惧し、自ら老後や死後に備える必要があるという認識が年々高まっています。

また、終活は遺された人たちの負担を軽減することも大きな目的のひとつですが、より個々の生き方が多様化する中で、自分らしい人生を送るために必要な活動と言えます。後の項目では、就活の目的やメリットについて、より詳しくご紹介していきます。

「終活」は何歳から始めるべき?

終活は「老後に行うもの」と認識されている方も多いかと思いますが、実は終活を始めるタイミングに決まりはありません。

終活は自らの死を意識する作業になるため、きっかけがないと始めにくいものですが、年齢に関係なく、終活に関心を持った時点から始めると良いでしょう。身の回りの整理や資産の管理を行うためには、想像以上に体力や判断力が必要となる場面が多いものです。できるだけ元気なうちに少しずつ進めていくのが理想です。

「終活」の主な目的やメリットについて

ここでは、終活の主な目的やメリットについて、より具体的にご紹介していきます。

死後も自分の意志を引き継ぐことができる

終活を進める中で自身の考えや希望を整理し、遺産の引き継ぎ先、葬儀、供養に関する事柄などを、エンディングノートや遺言状として残しておくことで、死後も自分の意志を引き継ぐことができます。

死に対する不安を軽減することができる死に対する不安を軽減することができる

自身の死について考えなければならない終活は、縁起が悪く不安だと思われる方もいるかも知れません。けれど、終活を通して可能な範囲で事前に準備を整えておくことで、自分自身の考えが整理され、死に対する不安を軽減する作用があります。

今後の人生を見つめ直し、充実させるきっかけになる

終活は死後の準備を整えるだけでなく、「これからの人生をどのように生きたいか」を考えていく作業でもあります。死ぬまでにやりたいことや今後の生き方について、終活を通して自身の希望を洗い出すことで、今度の人生をより充実させるきっかけになります。

遺された家族や身近な人の負担を軽減することができる

遺された家族や身近な人の負担を軽減することができる、というのも終活の大きなメリットのひとつです。ただでさえ遺された家族や身近な人たちは、多くの判断や手続きが必要となります。

その上、遺産や葬儀、供養について何も決まっていない状態となると、より多くの手間や苦労をかけることになりかねません。自身の希望をまとめ、可能な限り事前に準備を整えておくことで、周囲の人の負担を大きく軽減することができます。

遺産相続に関するトラブルを未然に防ぐことができる

これまで良い関係を築いていた家族間でも、遺産相続に関するトラブルで仲がこじれてしまうことは珍しくありません。資産の分配や相続先を明確にし、必要に応じてしっかりと遺言書を残しておくことで、自分の死後、家族や親族間の遺産相続トラブルを未然に防ぐことができます。

「終活」でやるべきこと、進め方について

ここでは、終活を行う際にやるべきこととして代表的な事項や、進め方についてご紹介していきます。

身の回りの物を整理する身の回りの物を整理する

まずは身の回りの不用品を整理し、処分していきましょう。亡くなったあとに譲りたい先がある品は、エンディングノートに記すなどしてまとめておくと良いでしょう。遺品整理は残された人にとって大きな負担となる作業です。身軽で快適な老後を過ごすためにも、使う機会のない物や家具は手放していくことをおすすめします。捨てるだけでなく、手放し方の選択肢は色々あります。まだ使える物を捨てることに抵抗がある場合は、必要な人に譲る、寄付する、買取業者に売却するなど、状況に応じて選択していきましょう。

また、近年遺品整理の現場で問題となっているのが「デジタル遺品」です。デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器や、機器内、クラウド、インターネット上に保存されている個人情報などを指します。

中でもインターネット上に残された情報やデータの削除には、IDやパスワードが必要になることが多く、それらが明確でないと適切に処分することが難しい場合があります。個人情報の流出などのトラブルを避けるためにも、まずは所有しているデジタル機器や、契約について把握し、IDやパスワードをまとめて整理しておくと良いでしょう。

まとめたIDやパスワードは、信頼できる人や専門の業者に託すなどして、適切に保管しておきましょう。

所有している財産・保険を把握し整理する

所有している財産を把握し、整理を行っていきます。相続したい資産がある場合は、しっかりと分配や相続先を明確にしておきましょう。場合によっては生前贈与を行うことで節税に繋がるケースもあります。相続や税金についての疑問は、税理士や弁護士などの専門家に相談してみましょう。

所有する現金、預貯金、不動産、証券などについての情報は、目録にしてまとめておくと良いでしょう。合わせて、家や土地の権利書、株券などの財産にかかわる書面を一箇所にまとめておきます。せっかくの財産も、相続人が気づかず、相続漏れが起きてしまうケースも考えられます。

仮想通貨やネット証券をお持ちの場合や、加入している保険についても、忘れずにまとめておきましょう。その他、絵画や骨董品などの美術品も、価値の高いものは遺産として扱われます。

相続に関わることは、エンディングノートなどに記すだけでなく、法的な効力のある「遺言書」として残しておくことが大切です。また、不動産の名義や境界線などの問題があれば、できるだけ早いうちに解決しておくことをおすすめします。

友人・知人の連絡先をまとめる友人・知人の連絡先をまとめる

入院や死亡時など万が一の際に、家族から連絡して欲しい方の名前や連絡先、住所をまとめてリスト化しておきましょう。家族でも、交友関係は意外と把握できていないことが多いものです。リストに自身との関係性も記しておけば、遺された方が連絡を取る際にもスムーズです。

また、いざという時に頼れる先を確保しておくことも重要です。家族や頼れる身内の方がいない場合は、事前に専門の代行業者と契約しておくという方法もあります。

医療や介護に関する希望をまとめる

医療や介護が必要になった場合に、どのような治療や介護を望むのか、自身の希望をまとめておきましょう。例えば、延命治療を希望するのかや、余命宣告があった場合は伝えてほしいのか、施設に入るならどんなところを重視したいのかなどを、事前に伝えておくことをおすすめします。

万が一自身の判断能力が低下し、意思を伝えることが難しくなった場合にも希望が叶いやすくなるでしょう。

葬儀に関する希望をまとめる葬儀に関する希望をまとめる

近年では葬儀の形も多様化し、少人数で行う家族葬や生前葬など、一口に葬儀と言ってもさまざまな選択肢があります。どのような葬儀を希望するのか、呼んでほしい人や喪主の希望、予算などを予めまとめておくと良いでしょう。最近では、事前に遺影用の自分らしい写真を用意しておく人も増えています。

また、事前に葬儀の契約を結んでおく「生前契約」という選択もあります。万が一の際に、遺された方が葬儀社を探したり、プランを選んだりする手間を省くことができます。契約の際は、解約金や年会費の有無などをしっかり確認した上で、契約を結びましょう。

また、遺された方が契約を知らずに、別の葬儀会社を手配してしまうことがないよう、家族や親族に生前契約の内容をしっかり伝えておくことも重要です。

お墓・供養に関する希望をまとめるお墓・供養に関する希望をまとめる

お墓や、供養に関する希望もまとめておきましょう。近年では、先祖代々続く一般的な「家墓」以外にも「共同墓」や「納骨堂」など、さまざまな選択肢があります。

また、相続税がかからないため、生前にお墓を立てる「生前建墓」を選ぶ方も増えています。状況に応じて検討してみてはいかがでしょうか。自身に特に希望がない場合は、遺された家族に一任する旨を伝えておくと良いでしょう。

更に、墓地の主な運用形態は「民営墓地」「公営墓地」「寺院墓地」「永代供養墓」の4つに分けられます。

「民営墓地」は、公益法人や宗教法人など、民営の団体が管理、運営している墓地を指します。宗派や居住地などに関わらず利用できることが多く、空きがあればいつでも申し込みが可能です。公営墓地などに比べるとやや費用は高くなりますが、サービスや設備が充実しているというメリットがあります。

「公営墓地」は、自治体が管理、運営を行う墓地を指します。運営母体が自治体であることから、倒産や閉鎖のリスクが少なく、費用も比較的安い傾向にあります。利用するためには、墓地のある地域に住んでいること、遺骨を所持していることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

また、利用時は各自治体で定められた応募期間に申し込む必要がありますが、定員を上回る場合は抽選となるケースも多くあります。

「寺院墓地」は、お寺が管理、運営している墓地を指します。お墓を建てるためには、お寺の檀家になる必要があります。墓地はお寺の敷地内にあるため、供養に関して安心して任せることができます。

「永代供養墓」は、墓地や霊園の管理者により永続的に管理が行われる墓地を指します。多くの場合、遺骨は他の方と合祀される形になります。永代供養墓は、お墓の継承者を必要とせず、生前契約も可能なため、後にお墓を任せる身内がいない方も安心して任せることができます。他の墓地のように管理費は無く、「永代供養料」のみが発生します。

エンディングノートを作成する

「エンディングノート」とは、家族や身近な人に向けたメッセージを書き残すためのノートです。法的な効力を持つ遺言書とは異なり、決まったフォーマットはありません。自由に自分の想いや伝えたいことを書くことができます。

これまでの項目でご紹介してきた、遺品に関することや、友人・知人の連絡先リスト、葬儀や供養に関する希望などを具体的に記しておくと良いでしょう。

ひとつのノートに情報をまとめておくことで、遺された方が各種手続きをよりスムーズに進めることができます。また、今後の人生をどう過ごしたいのか、最期をどのように締めくくりたいのかをひとつひとつノートに書き出すことで、漠然とした自分の考えや希望を整理することにも繋がります。

遺言書の作成はまだ早いと考えている方も、まずはエンディングノートから書き進めてみてはいかがでしょうか。何から書けば良いのか分からない場合は、下記の記入例を参考に少しずつ、書き進めていきましょう。

《エンディングノートの記入例》

・プロフィール
・自分史
・家族・親族・友人・知人の連絡リスト
・遺品に関する情報
・デジタル遺品に関する情報
・財産に関する情報
・加入保険情報
・医療・介護に関する希望
・葬儀に関する希望
・お墓・供養に関する希望
・家族や友人に向けたメッセージ

エンディングノートには、個人情報やパスワードなど、重要な情報が詰まっています。作成後は、信頼できる人や専門の業者に託すなど、慎重に管理する必要があります。また、いざという時に遺された方へしっかり引き継ぐことができるよう、エンディングノートの保管場所や存在を事前に伝えておくことも大切です。

遺言書を作成する

遺産相続などのトラブルを防ぐため、残したい資産を所有している場合は、法律で定められた様式に則った、法的な効力を持つ遺言書をしっかり残しておきましょう。遺言書は満15歳以上で判断能力があれば誰でも作成でき、何度でも書き直すことが可能です。

ただし、認知症などにより判断能力が低下した場合は作成ができなくなってしまうため、思い立ったタイミングで作成しておくことをおすすめします。法的に有効な遺言書は、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類に分けられます。

「自筆証書遺言」は、すべて本人の自筆で記された遺言書です。法律で規定された項目がきちんと記されていれば、法的に有効な遺言書として見なされます。自筆証書遺言は、費用をかけず、比較的簡単に作成できるというメリットがあります。

ただし、紛失や改ざんなどのリスクがあるため、2020年に制定された自筆証書遺言の保管制度を利用するなどして、厳重に管理する必要があります。

「公正証書遺言」は、公証役場の公証人に関与してもらい、公正証書として作成された遺言です。作成時には公証人と遺言者以外に、2人以上の証人の同席が必須です。専門家の監修の元に作成するので、遺言書が無効となるリスクを回避することができます。

ある程度の費用がかかりますが、より確実な遺言書を残しておきたい場合は「公正証書遺言」を作成することをおすすめします。

「秘密証書遺言」は、自筆以外の作成も可能です。公正証書遺言の場合と違い、遺言の内容は秘密にしたままでも大丈夫ですが、公証人と遺言者以外に2人以上の証人の確認を得る必要があり、封入・封印が必要です。

ただし、後になって必要事項が不足していることが発覚し、遺言書が無効になってしまうケースもあるため、「秘密証書遺言」の作成は慎重に行う必要があります。

まとめ

この記事では、終活の目的やメリット、進め方についてご紹介してきました。終活は、遺された方の負担を軽減し、より自分らしい人生を生きるための前向きな活動です。終活を始めるのに、早すぎるということはありません。

万が一の際に慌ててしまわないよう、これまでの人生を振り返り、今後の人生をどう過ごしていきたいかをじっくり考え、やるべきことをひとつひとつ整理して、準備を整えていきましょう。

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