日本では加齢や病気による認知や判断能力が低下した人の財産を保護するための制度が設けられています。成年後見と呼ばれるこの制度を利用するには法律で定められたルールに従って必要な書類を準備した上で手続きを行わなければいけません。そこで今回は、成年後見制度で準備する書類や手続きの流れについて詳しく解説していきます。
成年後見制度の流れ
制度の利用は決められた流れに沿って行うことでスムーズに進めることができます。最初に行うのが申立人と申請先の確認です。成年後見制度は希望をすれば誰でも行えるわけではありません。本人及び配偶者、4親等内の親族か地域を管轄する代表者だけと決められています。手続きができる場所は所在地を管轄する裁判所だけです。確認が終わったら医師の診断書を始めとした提出する書類の準備です。書類は申立てを行う人や成年後見人の候補で若干変わります。
書類を準備して必要事項を記入し終えたら制度の適用の有無を見極めるために受ける面接日の予約です。家庭裁判所の繁忙状況次第では予約が数週間から数ヵ月先になってしまうケースも少なくありません。制度の利用が決定事項であれば書類の準備をしている段階で予約をしておくと待ち時間を減らすことができます。申立人、後見人候補との面談を終えると親族の意向確認、担当医の診断を行い最終判断を下すための審査というのが大まかな流れです。
成年後見制度の手続きに必要な書類
必要となる書類はいくつかありますが、まず基本となるのが申立書です。申立書は家庭裁判所に直接足を運んで受付で伝えれば無料で貰うことができます。そのほか、戸籍標本や登記事項証明書、住民票といった本人であることを証明できる公的機関が発行している書類も必要です。戸籍標本、登記事項証明書は申立人だけでなく成年後見人の候補に挙げられている人の分も用意しなくてはいけません。成年後見人制度は病気などによる認知機能の低下で財産管理ができなくなった人を救済することを目的としています。制度の利用基準を満たしていることを証明する医師の診断書の準備も忘れてはいけません。
成年後見制度の手続き
成年後見制度は家庭裁判所で必要な書類を提出したり担当の調査官と面談をしなくてはいけないため、飛び込みで申請することはできません。前以て制度を利用したい旨を伝えて家庭裁判所の都合の良い日に予約を取る作業が必要です。無事に予約が完了したらその日までに書類の準備、記入を済ませて忘れずに当日裁判所に持っていかなくてはいけません。当日は家庭裁判所で収入印紙や郵便切手の購入が求められるので費用を支払って購入します。料金は印紙、切手共に4000円弱です。
その後、調査官が申立人、後見人候補と面談をして裁判の手続きに入ります。面談では申立てに至った理由や財産状況などを聞かれるのでしっかりと説明できるように準備しておかなくてはいけません。手続きによる審査で後見人に相応しいと判断された人は、後日裁判所から登記番号の通知を受けることで後見人として仕事ができるようになります。