終活とは、人生の終わりを見越して行う活動のことをいいます。一言で終活といっても種類があり、葬儀やお墓の準備、財産整理や遺言書などやらなくてはいけないこともたくさんあるからこそ、迷ってしまう人もいると思います。
近頃は、少子高齢化も進み自分にもしものことがあったときに「頼れる家族がいない」と心配する人も増えています。終活について何から始めるべきか迷っている人向けに、やることリストについて詳しく解説していきたいと思います。
終活は残された家族へ迷惑をかけないためでもあり、また残された人生をより良いものにするための活動です。終活についてもっと詳しく知りたい人は、やることリストも含め検討してみてください。
終活は何から始める?
いざ終活を始めようとしても「何から始めたらいいのかわからない」と迷ってしまう人もいると思います。自分が亡くなったあとに問題が起こりやすいのは、金銭的な問題が多くなります。実際に、家族が遺した遺産の配分を巡って親族同士でトラブルになってしまうことも少なくありません。
終活では、書面などを使って自分の意志を伝えるようにしておくことです。自分にもしものことがあったときにどうしたらいいのか迷っている人は、終活について把握したうえで、何から始めるべきか計画を立ててみるといいと思います。
終活はそれぞれ違うからこそ、正解は一つとは限りません。終活を始めたいと考えたタイミングでできることからはじめていくことが大切です。
終活は何から始めてもいい
終活は何からはじめても問題ないといわれても、考えなくてはいけないことも多いからこそ迷うこともあると思います。自分が手をつけやすいもの、もしくは気になっていることがあればそこから始めるのも一つの方法です。
また、エンディングノートを用意するのも終活を始める第一歩と言えます。エンディングノートとは、もしもの時に備えて重要な情報を書き残しておくためのノートのことをいいます。
記載する内容に決まった形式はなく、家族にメッセージを残す人も入れば、銀行や保険などの手続きに関する、葬儀やお墓について書き記す人もいます。自分が亡くなった後にメッセージを残して家族の負担を減らすのがエンディングノートでもあるのです。
終活をはじめる時期に決まりはない
終活を始める時期には、何歳でも問題はありませんが早く始めるほどメリットが大きくなるといわれています。終活を始めるタイミングとして一般的なのは、子どもが独立した、結婚や孫が生まれたときのタイミングや、定年退職をきっかけにライフスタイルが大きく変化したタイミングで終活を始める人もいます。
また、終活は体力と気力が必要になるため、元気なうちに始める必要があります。例えば、認知症など判断能力が欠けている状態だと契約が結べなくなってしまい、終活を進められなくなってしまいます。
また、家族や知人が亡くなるなど、死を目の当たりにしたときも考えられます。残された人生をどのように過ごすか考えたいと思ったときに、終活を始めても遅くはありません。
終活のやることリスト
終活にはさまざまなやることが存在します。
誰もが終活を行うのが初めてだからこそ、何をしたらいいのかとまどうものです。終活は手順通りに行うものではないため、できることから始めつつ様子を見てもいいと思います。
終活のやることリストには以下のようなものがあります。
・エンディングノートを書く
・断捨離を進める
・デジタルデータを見直し整理する
・自分の財産を把握しまとめておく
・葬儀やお墓について考える
・遺言書を作成する
・医療や介護の方針を考える
・終活に関する重要な契約を確認する
多岐にわたり、やることがあるのがわかると思います。
ここからは、終活のやることリストを詳しく説明します。
終活の目的も意識しながら、ポイントを押さえた終活を進められるようにしましょう。
エンディングノートを書く
終活は、最初にエンディングノートから準備を始めていきます。エンディングノートは前述でも説明した通り、あなたの基本情報や身の回りのこと、終活に関係する項目を記載しておくためのノートです。
エンディングノートは専用のノートがあるわけではありませんし、手持ちのノートに必要事項を記入しても問題ありません。エンディングノートに何を書いていいのか迷っている人は、市販のエンディングノートを購入して書ける項目から順番に埋めていく方法もあります。
また、エンディングノートには家族や親しい人に対して感謝の気持ちを書く人もいれば、備忘録としてやりたいことを書き綴っている人もいます。エンディングノートに書く内容は決まりがないからこそ、それぞれの用途で使っています。
断捨離を進める
断捨離は終活の一つです。自宅に不用品がたくさんある人は少しずつ処分することからはじめていきましょう。身の回りの整理をしつつ断捨離を進めることもできます。
また、これまでの人生を振り返る機会にもなりますし、老後を快適に過ごす準備にもなります。生活空間に物が溢れていると、何がどこにあるかを把握できず探し物に時間がかかってしまったり、余計なものを買ってしまうこともあります。
物が散らかった状態になると、片付けが余計に面倒になってしまうため部屋が荒れる原因になってしまいます。断捨離は体力・精神力が必要になるからこそ、50代など早いうちに始めるのをおすすめします。断捨離を行うことで、気持ちがポジティブになるなど、いい影響をもたらしてくれます。
デジタルデータを見直し整理する
終活のなかでも忘れてしまいがちなのが、デジタルデータの見直しです。デジタルデータとは、スマホやパソコン、インターネットなどに保存されているデータのことをいいます。写真やサブスク、アプリやインターネットサービスのログイン情報、SNSアカウントのログイン情報の整理を進めます。
60歳以上のスマートフォン利用率や、インターネット、SNSの利用率が増加傾向にあることもわかっており、デジタル遺品を残す人が今後も増えると予測されています。
デジタルデータの管理がきちんとできていないと、遺産の相続漏れの可能性も出てきてしまいます。終活におけるデジタルデータの見直しも必要になるからこそ、終活の一環として、見直すようにしていきましょう。
自分の財産を把握しまとめておく
自分が保有している財産を一覧にして作成しておくことも必要です。自分の財産を把握することで、今後の生活について考えるきっかけにもなります。預貯金や保険、クレジットカード、有価証券、公的年金など財産にもさまざまな種類があります。生前に整理しておくことで、遺される家族にかかる負担を減らすことにも繋がります。
自分の財産を把握するためには、まずはどのような財産を持っているのか把握することから始めます。現金以外の財産のリストアップをするのはもちろん、カードやサービスの契約内容も調べておきます。
不要な財産がある人は、この機会に整理しておくといいでしょう。また、財産に関する話しは限られた人のみ伝えておくようにしてください。
葬儀やお墓について考える
できるだけ元気なうちに葬儀の準備を進めておく必要があります。葬儀は生きているうちに予約をしておくことも可能です。今後の人生をどのように生きるか考えることにも繋がるため、終活を通して葬儀とお墓について考える必要があります。
お墓についても家族で共有していない人もいれば、どのように散骨してほしいなど希望がある人もいると思います。
葬儀は生前に予約しておくことで、遺された家族にとっても精神的な負担を軽減することに繋がります。
また、葬儀に呼びたい人をリスト化しておく方法もあります。あらかじめ呼びたい友人(知人)の連絡先をまとめておくと、亡くなった後の家族の手間を減らすことができます。葬儀に来てほしい人に連絡がとれなかったというトラブルを未然に防ぐことにも繋がります。
遺言書を作成する
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。遺言書を残す人の大半は、自筆で作成する自筆証書遺言を選択します。財産の見直しのタイミングに合わせて、遺言書の作成も進めるようにしておきましょう。
遺言書がないと残された家族がトラブルに巻き込まれてしまう可能性も出てきます。絶対に必要なわけではないものの、家族間のトラブルをなくすためにも作成しておくのをおすすめします。遺言書は、法的な手続きを経て資産を相続したいと考えている人には必須です。
なかでも相続に関しては、遺言書が大きな効力を持つようになるので対象となる不動産や資産を持っている人は、元気なうちに遺言書を検討しておくようにしてください。
医療や介護の方針を考える
終活のなかには、自分がどのような医療や介護を受けたいのか事前に書き記しておくこともできます。突然、大きなけがや病気になってしまうと自分の希望を伝えられなくなってしまいます。
認知症や要介護状態になったときに、どこで過ごしたいのか、どの病院で治療を受けたいのかなど、あらかじめ希望をまとめておくようにしましょう。意思を明確にしておくと家族の混乱も避けられますし、希望通りのサポートが受けられるようになります。
また、かかりつけの病院やデイサービスなど、緊急時の連絡先を家族に共有しておくことも大切です。ケガや事故などの万が一の事態が起きたときにも安心できるからこそ、医療や介護の方針を考えるきっかけにしておきましょう。
終活に関する重要な契約を確認する
終活に関する重要な契約の見直しも欠かせません。
死後事務委任契約は、委任者が生前に死後の事務を依頼しておく契約のことをいいます。例えば遺体の引き取りや葬儀・火葬に関する手続き、お墓や埋葬による手続きなども対象です。双方で決定内容を公正証書化しておきます。
任意後見契約は、十分な判断能力を有するときに任意後継人となる人や委任する事務の内容を、公正証書にて契約で定めておきます。判断能力が不十分になったあと、委任された事務を本人に代わって行う制度のことをいいます。
家族信託契約は、自分の財産を信頼できる受託者に託して特定の目的を行う為に、管理や処分、承認する契約のことをいいます。遺言の代替としての機能もあるため、相続時の負担を減らすことにも繋がります。
終活を進めるポイント
これから終活を進めるうえで、覚えておきたいポイントを紹介します。終活で大切なことは、遺された家族の負担を減らすことはもちろんですが、自分のためでもあることを忘れないようにしてください。
終活をきっかけとして、今後の人生をどう生きたいのか考えるきっかけにもなります。どう楽しく過ごすのかを考えることで、やりたいことや挑戦してみたいことなど、ポジティブな計画を立てられるようにしておきましょう。
終活を進めるうえで覚えておきたいポイントは3つあります。
自分のできる範囲で進める
終活で必要となる作業は多いからこそ、無理をせず自分のできる範囲でやることが重要です。なかには、仕事をしていたり趣味の時間で毎日忙しく終活に充てる時間が持てない人もいると思います。終活の必要性は実感していても、年齢を重ねるごとに大変だと感じる人が増えていることもわかります。
整理するにしても物が多く、処分するかどうか判断するのに時間がかかってしまうことも少なくありません。無理に終活を進めるよりも、自分ができる範囲のなかで生前にどうしても伝えたいことややっておきたいことを、終活を通して見直し進めるようにしておきましょう。また、自分で処分するのが大変な人はプロの手を借りる方法もあるため、効率よく進めておける方法を模索してみてください。
定期的に方針を見直す
終活で行ったことも、定期的に方針を見直す必要があります。特に遺言書においては、情報が変わることも少なくありません。加入しているサービスにしてもインターネットや生命保険・医療保険など改めて見直し利用できるものがあれば解約することも必要になります。
また、50代のときに決めた考えも、70代・80代と年齢を重ねていくうちに変わってしまう子とも少なくありません。一度決めたことは絶対ではなく、そのときの環境や心境によっても変わっていくものだと考えるようにしてください。
遺言書を見直しつつ、柔軟な意識を持ち満足できる終活に繋げていくことが大切です。定期的に方針を見直すことで、後悔のない終活に繋げることもできます。
家族や周囲の希望に耳を傾ける
終活において、一人だけで決めるのではなく家族や周囲の意見も聞き希望に耳を傾けることも必要になります。終活を始めたいと思ったら、家族に相談しコミュニケーションを取りながら進めていくようにしましょう。いきなり生前整理や遺言書を準備していると、家族が心配してしまうこともあります。
また、家族にとって大切なものを処分してしまう可能性も出てきます。どうして終活したいと思ったのか、自分の考えを伝えておき家族に理解してもらうほうが円滑に進められるようになります。終活は一人だけで進めるものではありません。
家族の理解がないまま進めてしまうと、家族が揉める原因に繋がってしまうので注意しましょう。周囲の希望に耳を傾け意見を取り入れるようにしてください。
まとめ
終活を始めたいと思ったら、まずはエンディングノートのようにできることから始めることが大切です。終活は、やるべきこともたくさんあるからこそ、体力・気力があるうちに始めるのがベストです。トラブルを防止するためにも家族とのコミュニケーションをとるようにしつつ、定期的に見直すようにしてください。
終活のタイミングは人によっても変わってくるため、50代から始める人も少なくありません。子供が家を出ていったタイミングでセカンドライフの計画を立てるために、終活を行う人もいます。
終活は、今後の人生を豊かにするために必要なものになります。自分の人生をどうしたいのか、本当にやりたいことは何かを考えるようにしてみてください。