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どんな遺言書を作るかで異なる遺言書の作成費用

どんな遺言書を作るかで異なる遺言書の作成費用

自分の死後に、よかれと思って残した遺産によって親族が争うのは悲しいことです。遺言書を作成することで、そのような争いを回避できる可能性が高くなることは多くの人が知っています。

しかし実行できないことも多いのは、作成方法や費用がわからないからではないでしょうか。この記事では遺言書の種類や、専門家によって異なる作成費用について解説します。

遺言書の種類

一般的な遺言書(普通方式遺言書)には、次の3種類があります。

自筆証書遺言自筆証書遺言

自筆証書遺言は遺言書と言ったときに、多くの人が思い浮かべる遺言者の手書きの遺言書です。民法の規定では遺言書の全文と日付、氏名を手書きして押印することで作成できるので、紙と筆記用具があれば無料で作ることができます。

ただし不備があれば法的な効力がなくなるため、専門家のチェックを受けるとよいでしょう。自筆証書遺言は作成したことを秘密にし、自分で保管することができます。

一方で相続人に見つけてもらえなかったり、見つけた人に改ざんされたり隠蔽されたりするリスクを負います。遺言者が遺言書を作成したときの状況によっては、遺言能力について相続人から異議が出ることもあります。遺言書の保管には、遺言書保管制度の利用が可能です。

これは法務局の遺言書保管所が遺言書の原本を保管してくれる制度で、手数料は1件3,900円になります。この制度を利用した場合は、家庭裁判所の検認が不要です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が遺言者から内容を聞き取りながら作成する遺言書です。その際には、2人の立会人が必要になります。できあがった遺言書は、公証役場で原則20年間保管されます。専門家が聞き取って作成するので自身の希望通りの遺産相続を実現できる確実性が高く、書類の不備が生じるリスクは限りなく低いと言えます。

保管も頼めるので、偽造や紛失の心配もありません。公証人によって遺言能力も確認されており、有効性が否定される可能性も軽減されます。障害があって文字が書けないなどの場合も、遺言書を残せることがメリットの1つです。

公正証書遺言の作成には申請が必要で、3か月以内に取得した本人の印鑑登録証明書や戸籍謄本などの書類を提出しなければなりません。そのほか相続する人や、相続の内容によって各種書類が求められます。作成費用は公証人手数料令という政令で決められており、遺言の目的である財産の価額に対応します。

たとえば財産の価額が5,000万円を超え1億円以下では、手数料は4万3,000円です。全体の財産が1億円以下の場合は、遺言加算として1万1,000円が追加になります。

公正証書遺言は原本と正本、謄本を1部ずつ作成します。原本は公証役場で保管し、残りの書類は遺言者に交付されます。原本は枚数が4枚(法務省令で定める横書きの公正証書は3枚)を超えるときは、1枚超えるごとに250円の手数料がかかります。正本と謄本の交付は1枚につき250円の割合の手数料です。

高齢や病気などのために遺言者が外出できず、公証人が赴く場合は公証人手数料の50%が加算されることがあります。そのほか公証人の日当と交通費が必要です。費用が高いことが公正証書遺言のデメリットですが、作成の相談はすべて無料で受けられます。

秘密証書遺言秘密証書遺言

遺言書の内容を秘密にしたい場合に作成する遺言書です。2人の証人立会いの下、遺言書を公証役場に持ち込み、遺言書があるという確認を行います。遺言書の内容は公証人にも、立会人にも公開されません。本人の署名と押印さえあれば、パソコンでの作成でも代筆でも有効です。

しかし公証人に内容の確認をしてもらえないので、秘密証書遺言の手続きをしていても自筆証書遺言と同じく、書類に不備があれば無効となることがあります。保管も同様に自分でしなければなりません。手続きにかかる手数料は定額で1万1,000円です。

遺言書の作成を依頼する場合の費用相場

遺言書の作成を依頼できる専門家には、次のような人がいます。費用の相場も含めて解説します。

弁護士弁護士

弁護士は相続トラブルを含め、相続についてトータルに相談できる専門家です。最初にかかる相談料は30分5,500円です。相談料を無料にしている弁護士もいます。遺言書の作成費用の目安は10万円から20万円ですが、財産の種類が多く評価が難しい場合や、相続人の関係が複雑である場合などは50万円ほどかかることもあります。

自筆証書遺言の場合は遺言者の事情や希望を聞き取り、相続財産目録と遺言書の原案の作成を行います。遺言者を確認してもらい加筆・訂正などしたあと、遺言者が手書きで遺言書を書きます。弁護士は内容や形式の誤りをチェックします。

公正証書遺言の場合は弁護士が公証役場に赴き、作成を依頼して公証人と細かい調整をします。遺言者が遺言書の作成を行う当日は、弁護士も立会います。必要に応じて証人の手配も可能です。弁護士の出張には、日当と交通費がかかります。

交通費は実費、日当は法律事務所によって異なりますが、3万円から5万円程度を見ておきましょう。遺言書の保管を依頼する場合の目安は1万円、遺言の執行は30万円程度かかります。

司法書士司法書士

司法書士は、法務局や裁判所に提出する書類の作成などを行う専門家です。遺産整理全般や遺言執行など業務は多岐にわたりますが、不動産の名義変更を行う相続登記には特にその専門性が発揮されます。相続財産に不動産が含まれていて、遺言書に記載する場合には司法書士に相談するとよいでしょう。

費用は事務所にもよりますが、公正証書遺言案の作成などを依頼した場合の相場は4万円から5万円ほど、証人としての立会い料などを入れたトータルは5万円から6万円ほどとなります。

税理士

税理士は税の専門家です。遺言書の作成を行う税理士に依頼することで、相続の段階から節税対策をすることができます。納税は現金が原則です。土地や建物などの財産が多い場合には、相続税を専門とする税理士に依頼すると納税資金が確保され、納税の際に現金が足りないなどのトラブルを避けることができます。

税理士は簡易に財産を評価したうえで、節税を踏まえた遺言書案を作成します。法律の専門家ではないため、公正証書遺言の作成支援となる場合が多いでしょう。事務所やサポート内容によって差が出ますが、費用は10万円前後が相場となります。

行政書士行政書士

行政書士は、官公署へ提出する書類を作成する専門家です。遺言書の作成を得意とする事務所では遺言書起案業務から遺言書保管、遺言執行業務まで行っています。場合によっては、税理士や司法書士と協力します。料金の相場は10万円前後となります。

遺言信託

遺言信託は、信託業務を行う信託銀行などで受けることができるサービスです。遺言書作成に関するコンサルティングや財産目録の作成、遺言の執行などを任せることができます。保管は、原則として公正証書遺言のみとなります。従って、作成する遺言書は公正証書遺言です。

必要なら、銀行の職員が立会人になることもあります。その際に、遺言執行人として銀行を指定します。遺言者は遺言書を作成後に、遺言信託の申込をします。申込には遺言書の正本のほか、財産に関する資料や戸籍謄本などが必要です。

その後、遺言者の死亡時に銀行に連絡する死亡通知人の指定をします。相続手続きが開始されれば銀行が遺言執行人として遺言書を披露し、財産目録を作成するなどの執行業務を行います。遺言書の内容に基づき、不動産の名義変更などを行って遺産を分割します。相続人の所得税・相続税の申告や、納付手続きのサポートも可能です。

公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続きも不要なので、相続人にとっては利便性の高い方法と言えます。費用は銀行やプランによって異なりますが、基本手数料と遺言書保管料、遺言執行報酬などで120万円から150万円前後となります。

自身の状況や目的に合わせて作る遺言書

遺言書には3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。かかる費用も異なります。専門家に依頼する場合も相続にトラブルが予想されるなら弁護士、費用を安く抑えるなら行政書士など、自身の悩みによって相談先を変えると希望に沿う遺言書の作成が可能です。

検認の有無など、相続人の利便性も考えるとよりよい相続が叶います。

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